雇用保険受給の条件
雇用保険の失業給付は、単に退職したからといって自動的に受給できる制度ではない。受給資格は厳格に判断される。最も重要なポイントは「非自発的離職」と「就職活動が可能な失業状態」である。この二つを満たす必要がある。
個人事業者の登録と失業状態
問題は、個人事業者として登録されている状態では「失業状態」とみなされない点だ。実際に売上が全くなく、営業活動を行っていなくても、国税庁に登録された事業者状態が「維持」されている場合、雇用センターは申請者を自営業者とみなす。このため失業給付の受給資格審査で脱落する可能性がある。
権利と条件
幸いなことに、事業者の維持とは別に「勧告退職」は失業給付受給条件の一つである「非自発的離職」として認められる。使用者の責任がない場合、経営上の理由で勧告退職が行われた場合、これは正当な失業給付受給理由として分類される。しかし、この場合も「就職活動が可能な状態」であるかどうかが重要である。
事業者登録の廃業が必要
雇用保険の失業給付審査過程では、事業者登録の有無が非常に重要な判断基準となる。事業者登録が廃業状態でなければ、失業状態とみなすのは難しい。失業給付を受けたい場合、まず「廃業届」を提出する必要がある。
廃業届のタイミング
廃業届は必ず退職日以降に行うべきである。退職前に廃業届を出してしまうと「既に自営業を辞めた状態で再び雇用契約を結んだ」と誤解される可能性があるためである。最適な順序は以下の通りである。
- 会社退職
- 退職日を基準に事業者廃業届提出
- 廃業日確認可能な書類(廃業事実証明書など)準備
- 雇用センター訪問またはオンラインでの失業給付申請
例外と注意点
「売上がなく、実際の営業活動もないので事業者登録だけされているが失業状態だ」と主張したい場合もあるかもしれない。実際に雇用センターによって「形式的な事業者登録者」として認められ受給資格を与える事例もある。しかしこの場合も売上内訳、通帳取引内訳、実際の営業活動の有無を証明できなければならず、担当者の判断により却下される可能性も高い。
結論: 事業者登録と失業給付
まとめると、どれだけ勧告退職であっても個人事業者登録が維持された状態では失業状態と認められず、失業給付の受給が難しい場合がある。失業給付を安定的に受けたい場合、退職後速やかに廃業届を出し、廃業事実証明書を用意して失業状態を証明するのが最も安全で確実な方法である。