個人破産申請の重要性
個人破産の申請には、単なる書類提出以上のものが求められます。裁判所は申請者が実際に債務を弁済する能力がないことを客観的資料で確認します。特に、繰り返しの免責申請や故意の財産隠匿を防ぐため、すべての項目について実証的な証拠を求めます。このとき使用されるのが補助書類14種です。この記事では、項目別にどの書類を準備すべきか、どこで発行されるかを詳しく解説します。
身分および家族関連書類
まず準備すべきは申請者の基本的な身分情報と家族構成情報です。破産申請者の身元はもちろん、扶養家族がいるかどうかも生活費算定に影響を与えるため、以下の書類は必須です。
- 住民票: 申請者の住所地や家族関係を確認するために使用されます。同行する家族の情報も表示されます。市役所やオンラインで発行可能です。
- 戸籍謄本: 扶養家族や配偶者、子供の情報が表示されます。生活費算定時に未成年の子供の有無が重要です。
- 婚姻関係証明書: 離婚歴がある場合、いつ離婚したか、財産分与があったかどうかを確認するために必要です。
所得証明書類
裁判所は申請者が現在収入があるか、または過去にどのような所得があったかを確認します。収入が全くないと記載しても、その根拠資料がなければ信頼が得られないからです。
- 健康保険資格取得喪失証明書: 現在職場で働いているか、退職した状態かを確認するために使用されます。健康保険組合のホームページまたは支社訪問で発行可能です。
- 給与明細書または所得金額証明書: 最近3ヶ月から6ヶ月間の給与明細が一般的で、フリーランスの場合は所得金額証明書を税務署のホームページから取得し提出します。
- 生活保護受給証明書: 受給者であれば、該当書類を提出し生活が困難であることを明確に示せます。
債務証明書類
現在自身がどのような借金をしているかを「言葉」ではなく「文書」で示すことが重要です。裁判所は債権者が誰なのか、借金額がどれくらいなのかを正確に把握しようとするため、次のような書類が必要です。
- 負債証明書: カード会社、消費者金融、金融機関から発行可能で、現在残っている債務金額(元金、利息など)を確認できる書類です。
- 債権者との訴訟判決書: もし債務に関連して民事訴訟で判決を受けた履歴がある場合、判決書も一緒に提出する必要があります。これは債務の成立に対する決定的な証拠となるためです。
- 信用相談報告書: 信用回復委員会を通じて個人債務者相談を受けた場合、該当機関から発行される総合報告書です。裁判所はこれを信頼度の高い資料と認めます。
財産関連書類
財産をどれだけ保有しているかは破産申請で最も核心的な審査要素の一つです。特に最近財産を処分した履歴がある場合や、配偶者や子供に財産を譲渡した場合は、さらに慎重に確認されます。
- 車両登録証明書: 車両がある場合、車両登録証と一緒に登録証明書を提出し、車両の名義と価額を確認します。
- 賃貸契約書: 賃貸や月極で住んでいる場合、該当契約書を通じて保証金や家賃の水準を把握できます。
- 保険解約返戻金照会履歴: 損害保険や貯蓄型保険の返戻金がある場合、該当履歴を保険会社のホームページで印刷するか、コールセンターに依頼して書面で受け取ります。
- 不動産登記簿謄本: 本人名義の不動産がある場合は当然提出し、過去の名義変更も含まれます。不動産がない場合でも「ない」ことを確認するための書類が必要になることがあります。
- 相続財産協議書または家族関係整理文書: 最近親の死亡や相続があった場合、該当財産がどのように分配されたかを示す書類が必要です。
このように各項目ごとに要求される補助書類は単なる形式的なものではなく、申請内容の事実性を証明するための決定的な資料です。漏らしたり、偽って作成すると免責不許可の理由となるため、できるだけ正直で正確に準備することが重要です。
次回の記事では、これら補助書類をどのように提出すれば審査に有利か、そして補正命令を受けた際の対処法についてもお伝えします。お見逃しなく!