扶養家族の意味と範囲
個人再生において「扶養家族」とは、単なる家族関係で決まるものではない。裁判所が判断する扶養家族とは、実質的に生計を共にしているかを基準とする。申請書に家族関係証明書や住民票を提出しても、そこに記載された家族全員が自動的に扶養家族として認められるわけではない。裁判所は申請者の月収から控除できる最低生活費を算定する際、実際に扶養している家族の数を基準に判断する。たとえば、住民票上で一緒に住んでいても経済的に独立している成人の子供や、収入が十分な配偶者、婚姻届だけ出して別居している配偶者などは扶養家族として認められない場合が多い。
扶養家族の認定基準
以下の条件を満たす場合にのみ扶養家族として認められる。
- 申請者と住民票上同一世帯であること
- 実際に同居し、生計を共にしていること
- 所得がない、またはあっても独立して生計を立てるのが難しい状態であること
- 申請者がその家族の生計の一部または全部を負担していること
子供、配偶者、親の含有
扶養家族として最も一般的に考慮される対象は未成年の子供、専業主婦(夫)、高齢の親である。未成年の子供は多くの場合、認められる。特に65歳以上の高齢者で基礎年金以外の収入がない場合は比較的容易に認められる。ただし、別居している場合や、本人の年金や賃貸収入で独立した生活が可能な場合には扶養家族として認められないことも多い。
扶養家族の証明書類
裁判所は扶養家族の数を厳格に審査する。これには以下の証明書類を準備する必要がある。
- 住民票:申請者と扶養家族が同一世帯に登録されている必要がある。
- 家族関係証明書:血縁や婚姻関係を証明するために必要。
- 所得関連書類:扶養家族として含める家族が職に就いていない、または所得がないことを証明する書類。
- その他の証明資料:実際に生活を共にしていることを示す資料があると有利。
結論
個人再生で扶養家族をどう設定するかは、毎月の返済額に直接影響を与える重要な要素である。実際に共に生活し、生計を共にしている場合は積極的に含めつつ、裁判所が納得できる資料を十分に準備することが重要である。誤った判断で無理に扶養家族の数を増やしたり、逆に含めるべき家族を漏らすと、再生計画の認可に不利に働く可能性がある。